※ ガンダ○エー○に連載中の小説「Frozen Teardrop」のネタバレも含みますので、要注意!!
  OKな方はどうぞ下↓

眠い目をこすりつつリビングに下りると、トーストの焼けるイイ匂いが漂ってくる。
「おはよう、Jr.」
「ジュニアって呼ぶな、クソ親父。オレはデュオっ」
「オレもデュオなんだけどなぁ。」
フライパンから目玉焼きを皿に移しながら、苦笑いを漏らす男は、憎まれ口を叩く程大きな息子を持つには年若い。
「じゃぁ、同じ名前なんてつけるなよっ。」
「別にいいじゃないか。」
「よくねぇよ。顔も親父そっくりってよく言われるのに、名前まで一緒じゃ、たまんないね。」
ジュニアと呼ばれた少年が、膨れっ面のまま朝食の並んだ食卓へ腰掛けると、目の前に出来たてのトーストが差し出される。
受け取ろうと手を差し出すと、伸ばした髪がぱさりと背から流れた。
「お前、髪切れば?」
「いちいち、ウルサイ親父は嫌われるぜ。」
キッチンに立っていた方のデュオが、エプロンを外しながら、肩を竦めた。
「外見が似てるって言われるのも嫌がるくせに、何で髪なんて伸ばしてんだよ。」
「別に、いいだろ。」
ぷいと顔を背け、照れを誤魔化すように、ジュニアはトーストをほうばった。

まさか、古い写真に写っていた父親の若かりし頃の姿が、長い髪を三つ編みにしていたからだとは、口が裂けても言うまいと、ジュニアは固く誓っている。
忍び込んだ親父の書斎で偶然に見つけた写真は、机の奥に、隠す様に仕舞われていた。
それらには、父親と同世代と思わしき幾人かと楽しそうに笑っている物が多かったが、その中で一際目を引いたのは、東洋人のくせにプルシアンブルーの瞳を持った少年だった。
その青年が写っている写真は、無表情ともいえる程に、いつも似たような顔だったけれど、たった一枚だけ、表情の写った写真があった。
不意に、長い三つ編みを引っ張られたのか、若いデュオは、驚いた様子でよろけていて、その後ろで、三つ編みを手に、口元に僅かに笑みを浮かべた少年の姿に、ジュニアは長いこと釘付けになったのを今でも良く覚えている。
幼い頃にその写真を見てから、ジュニアは若い頃の父親のように髪を伸ばし始めのだ。
随分昔の記憶を思い出しながら、朝食を取っていたジュニアの頭を、不意に大きな手が叩いた。
「食事は、きちんと噛んで食え。」
「判ってるよ。」
そう言って顔を上げたジュニアは、せわしなく動いていた手を思わず止めた。
いつの間にか身支度を始めていた父親は、いつもの見慣れた神父服ではなく、今まで見たことのない服装だった。
黒いレザーパンツに、厳つめのブーツ。
体にフィットしたTシャツのV字の襟元から除くクロスのアクセが唯一、神父っぽいといえなくもないが、普段の神父姿とはかけ離れた格好に、目を瞠った。
「どっか出掛けるのか?」
珍しい父親の姿を、ジュニアは怪訝そうな顔で眺めつつ声を掛ける。
肩下程の長さまで短くなった、軽くウエーブの掛かった髪を括りながら、大人の方のデュオが答えた。
「ああ。数日は戻らないと思うから、あとはいつも通りに自分でやっとけよ。」
「はいはい。」
ジュニアは慣れたように、返事を返す。
時折、数日間家を空ける事のある父子家庭の息子は、自分の世話は出来るように躾けられている。
「それにしてもさー、神父がそんな格好していいのかよ。」
「プライベートの用事だし、いいだろ。」
軽く返す言葉に、それにしてもその服装はどうかと思うと、ジュニアは溜息を付いた。
「神父に見えねぇ」
「そう?」
「うん。神父っていうより・・・ホスト?!」
自分の父親が、近所の女の人達に、神父にしておくのが勿体無いと噂されているのを知っているジュニアは、行儀悪くも、食事中のフォークでデュオの姿を指し、呆れた顔で言う。
「さすがに神父が女遊びとは、どうかと思うぜ?」
「違う違う。」
息子から在らぬ誤解で、軽蔑の眼差しを向けられたデュオは、笑いながら手を振って否定する。
「久しぶりに、昔の知り合いに会いに行くんだ。」
デュオは、椅子に掛けられていたジャケットを手に取り、玄関へと足を向けた。
と、突然歩みを止めたデュオが、ジュニアに振り返る。
「オレ、カッコイイ?」
突拍子もない質問に、一時ぽかんとしていたジュニアが、渋々答える。
「・・・まぁまぁだな。」
「そっか。」
そういって満面の笑みを残し部屋を後にしたデュオの背が、どこかウキウキと嬉しそうに見え、ジュニアは何故か羨ましいと思いながら見送った。

[ END ]

■あとがき(別名:言い訳)■

ジョニー氏がメールで、「装置のメンテで10年周期で会ってる21を妄想した。」&「成人デュオが独り寝で枯れていくのが不憫」と、ワタクシの萌えツボを押されたので、書いてみました。
にしたって、短っ!